今年の楽天イーグルスのルーキーと言えばオコエ瑠偉選手ですが、もう一人注目して欲しい選手がいます。
それが育成枠 出口匠選手。
選手名鑑に、好きなタレント、理想のタイプ「ママ」、趣味、特技「親と買い物」と公言するほどのマザコン。
……に見えますが、少々複雑な家庭状況の中で成長しました。
実は出口匠選手と家族には血のつながりがありません。
小学校5年生、10歳の頃、実の両親が離婚。
当時出口匠選手が所属していた野球チームの代表の娘・宇佐美ルミ子さんは、夫の勝也さんとの間に既に3人の子供がいましたが、10歳だった出口匠選手を長男として迎え入れたのです。
出口匠選手が小学6年生のときに、ルミ子さんが贈った1冊のアルバム。
そこにはたくさんの写真とともにルミ子さんからのメッセージが綴られていました。
その言葉は、
というものでした。
出口匠選手はこのように語ってくれております。
すごくうれしかったです。
家族ってこんなに温かいんやって。
こういう家庭に生まれたかったなと思って。
宇佐美ルミ子っていう存在がなかったら、やっぱり今の自分はホントにないと思うんで、
ホントにすごく感謝しています。
しかし、勝也さんは、製造業の仕事と建築関係の二足のわらじを履き、匠選手の学費や野球用具購入のため人一倍働き、新しい長男を支えるため必死に汗を流しました。
出口匠選手の家族への恩返しはプロ野球選手になること。
どんな境遇でもその夢だけは忘れなかったそうです。
父と母と3人の兄弟、家族全員が出口匠選手の夢を心から応援していました。
新しい家族に支えられ、高校進学後も野球に専念。
ルミ子さんは3年間、毎日送り迎えをされたそうです。
ドラフト当日。
事前の調査で楽天と西武から指名される可能性があると噂あったこともあり、津田学園初のプロ野球選手誕生の可能性があるため事前に指名に備えて、部活の部員とともに学校で待機。
家では両親と兄弟姉妹、中学校の同級生などが家に集まり、ドラフトの時間を待ちます。
ドラフトが始まるも下位になっても指名されず。
落胆する家族と友人達。
しかし、育成枠が始まり1位指名で楽天が「出口匠」を指名します。
歓喜に沸く家族の中で、まず父親が男泣き。
出口匠選手をして”お母さん”と言わせしめる程の母親の愛情が注がれたのでありましょう。
血の繋がりを超えた親子関係であります。
仏さまに向かってお願いする念仏ではなく、仏さまのお慈悲が私のうえに念仏となってあらわれるとお聞かせにあずかります。
浄土真宗をお開きになった親鸞聖人は、自らが助かる道はないかと20年間ご修行された比叡山をくだりました。
そして、六角堂における夢告(夢のお告げ)に随い向かった法然聖人の元で聞いた教えがまさに、出口匠選手をして”お母さん”と言わせしめる程の愛情が注がれておったように、
というお説教であったのです。
これから目的に向かって精進していこうという教えではない、すでに仏さまの目的の中であったと聞かせていただくことであります。