今回は、『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』到知出版社という本に掲載されている話です。物事が順調に進んでいる時ほど慎重になった将棋の名人の話ですが、非常に恵まれた環境にあって、出家を決意したお釈迦様の逸話に通じるものがあるのではないでしょうか。

人間は努力するかぎり、迷うものだ ー ゲーテの言葉 森本哲郎 評論家

先人の言葉は逆境の時ばかりではなく、順境の時の戒めとすることもできます。新聞の学芸記者だったころ、将棋欄を担当していた同僚に頼み込んで、升田幸三、大山康晴両棋士の名人戦を見学したことがありました。ところが、実際に観戦してすっかり閉口してしまいました。いざ対局が始まると、駒が一つ動くたびに「大山名人、長考一時間四十三分」といった具合です。その長い間、素人の私はひたすら次の手を待つしかありません、何とも退屈で、もうこりごりして帰った記憶があります。

その対局のあと、しばらくして大山名人にインタビューする機会がありました。私は観戦の体験を思い出し、いったい、どういう時に長考するのか聞いてみました。すると大山名人の答えはこうでした。

「そりゃ、うまくいきすぎている時ですよ。だって、物事というのは、そんなにうまくいくはずがないでしょう」

それを聞いて、なるほど「守りの大山」といわれる秘密はここにあったのかと、私は”秘密”を初めて知らされました。普通の人なら、物事がうまく運んでいる時は、その勢いに乗って突き進み、何も深く考えません。だから、思わぬ落とし穴に嵌り、失敗してしまう。ところが、大山さんは「物事というものは、うまくいくわけがない」ということを確信しているので、やたら順調に進んでいる時は、どこか落とし穴があるに違いないと考えるのです。これは勝負に勝つ秘訣であると同時に、人生を誤らないための至言だと思い知らされました。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』到知出版社 320 頁

出家する前のお釈迦様は釈迦族の皇子という立場にあり、季節毎の住まいがあるほど恵まれた環境で生活していました。しかし、その環境を恵まれていると感じる個人の認識そのものが不幸を生み出す原因であるとお釈迦様は気づかれていったのでしょう。

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